ビジネススキル

成約率を高めるための行動心理学9選

成約率を高めるための行動心理学9選」


行動心理学とは、人間の行動や判断に影響を与える心理的な要因を研究する学問です。

例えば、人は自分に似た人や自分に好意的な人に対して信頼感や好感を持ちやすいということがわかっています。

これを利用して、相手との共通点を見つけたり、褒めたりすることで、成約率を高めることができます。

このように、行動心理学には、営業やマーケティングに役立つ知識がたくさんあります。

今回は、その中から9つのテクニックをご紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

成約率を高めるための行動心理学9選「1.プロスペクト理論」


プロスペクト理論(Prospect Theory)とは、人は不確実性のある状況下で意思決定を行うとき、期待値の基づかず認知バイアスによって、不合理な選択をしてしまうという理論です。

人々は絶対的な金銭的価値ではなく、変化や相対的な差異に基づいて利益や損失を評価するとされています。

あなたには次の2つの選択肢があります:

選択肢A:確実に100万円を手に入れる。
選択肢B:50%の確率で200万円を手に入れる、または50%の確率で何も手に入れない。

期待値としては選択肢AもBも100万円と同じです。

しかし、この場合プロスペクト理論に基づくと、ほとんどの人がAを選択するというものなのです。確実な利益を得ることで損失を回避しようとする傾向があるためです。

このような例からわかるように、プロスペクト理論では人々の意思決定において、利益や損失の評価に認知バイアスが働き、リスク回避の要素が影響を与えることが示されています。

セールスに当てはめると、以下のような例を挙げられます。

①割引や特典の強調

「○割引!」「購入するとプレゼント進呈!」など、製品やサービスの割引や特典を強調することで、顧客は利益を享受することができると認識します。

②損失の回避

顧客は、セールスの機会を逃すことで何かを失う可能性を避けたいと考える場合があります。

「期間限定」「季節限定」といったうたい文句が当てはまります。

③参照点の設定

セールスにおいては、参照点を設定することが重要です。

例えば、通常価格よりも割引された価格を示すことで、参照点となる通常価格からの割引額を利益として認識させます。

通常価格に二重線の取り消しをした後、割引額を隣に書くなどの手法です。

④オプションの提供

セールスにおいて、複数のオプションを提供することで、顧客に自身の選択肢を与えることができます。

プロスペクト理論に基づくと、顧客はオプションを比較する際に損益対照を行い、利益や損失を評価します。車の販売の際によく取り入れられる手法です。

成約率を高めるための行動心理学9選「2.両面提示の法則」


両面提示の法則とは、相手にメリットとデメリットの両方を同時に伝えることで、相手からの信頼度や好感度を上げる手法です。

反対に、メリットだけを提示するときは「片面提示」といいます。

相手に知識が乏しい、すでに相手との信頼関係があるのならば片面提示で問題ありませんが、相手に知識がある、相手が提案に対して疑義を抱いている場合は両面提示が効果的です。

例えば、スマホのセールスの場合このような説明になります。

メリット

このスマートフォンは長時間バッテリーが持続します。一日中使い続けても、充電の心配なく利用できます。

忙しいスケジュールや移動中でも、常に接続されていられます。

デメリット

このスマートフォンは大型のディスプレイを備えていますが、そのためポケットや小さなバッグに収まりにくい場合があります。

ただし、大画面の鮮明な表示が利点となり、映画やゲームを楽しむのに最適です。

このように、セールス時には両面提示の法則を活用することで、顧客に対して製品やサービスの全体像を正直に伝えることができます。

メリットだけでなくデメリットも提示することで、顧客は情報に基づいて意思決定をすることができ、信頼度や好感度も向上するでしょう。

また、デメリットを先に述べてからメリットを述べることを初頭効果と言います。

成約率を高めるための行動心理学9選「3.バンドワゴン効果」


バンドワゴン効果(Bandwagon effect)は、人々が多数の行動や意見に従う傾向を指す心理現象です。

これは一種の社会的な圧力であり、個人が主観的な判断や意見形成をせず、他の人々の行動や意見に追随することを意味します。

①流行りに乗り遅れたくないという社会的な帰属意識
②他の人々の行動や意見を参考にすることで、自身の判断のリスクを減らすことができる不確実性の回避
③情報が限られている場合や専門的な知識が必要な場合、他の人々の行動や意見を頼りにするという情報の非対称性
この3点が要因に挙げられます。

セールスの場面においても、バンドワゴン効果はよく見られる現象です。以下にいくつかの例を挙げます。

①レビューや口コミの利用

製品やサービスに対するポジティブなレビューや口コミを強調することで、他の人々が既に製品やサービスを選んでいることを示す手法です。

②「ベストセラー」や「トップセールス」の表示

商品がベストセラーリストにランクインしていることや、多くの人々が既に購入していることを強調することで、バンドワゴン効果を利用します。

③タイムリミットや数量制限の提示

テレビの通販番組は商品のタイムリミットや数量制限を設定することがあります。

これにより、他の人々が急いで商品を購入しているように演出し、消費者に追随するよう促すことができます。

成約率を高めるための行動心理学9選「4.スノッブ効果」


スノッブ効果(Snob effect)は、一部の個人やグループが、自分たちが特別であると感じるために、他の人々が好むものや価値を拒絶する傾向を指します。

スノッブとは、自分が特別な地位にあることを自慢する人のことを言います。

スノッブ効果は、特定の製品やサービスに対して高い需要がある場合にしばしば現れます。

例えば、ある商品の人気が一般的にある場合、一部の人々はその商品の人気が高まることによって、自分たちが他の人々とは異なる特別な存在であると感じることがあります。

その結果、彼らは他の人々が好むものや普及しているものを避け、独自の嗜好や品味を追求する傾向が生じるのです。

スノッブ効果は、高級ブランドの商品や限定品においてもよく見られます

一部の人々は、高価な製品や希少性のある商品を所有することによって、自分たちの特別さや上位性をアピールしようとします。

これにより、その商品への需要が増え、価格が高騰することがあります。

①ハイエンド製品の販売

高級な製品やブランド品を扱うセールスの場面では、一部の顧客は他の人々とは異なる特別な存在であることを感じたいと考えます。

そのため、顧客に対して、希少性や高品質などの特徴を強調し、他の一般的な製品よりも優れたものであることをアピールするのが効果的です。

これにより、顧客は自分が特別な商品を手に入れることで他の人々と差別化されると感じ、高級品の購買に踏み切る可能性が高まります。

②会員制サービス

一部の企業やクラブでは、エクスクルーシブな会員制サービスを提供しています。

このようなサービスに参加することによって、顧客は他の人々とは異なる特別な地位を得ることができます。

その会員制サービスの特典や特別なアクセス権限を強調し、顧客が他の人々から差別化されることをアピールするのが効果的です。

これにより、顧客は特別な体験や優遇を享受したいという欲求に応えるために、会員になることを選択するかもしれません。

③限定品の販売

限られた数量の商品や限定版の販売もスノッブ効果を利用したセールスの手法です。

その商品が希少であることや他の人々とは異なる存在であることを強調し、顧客が特別なアイテムを手に入れることで他の人々と差別化されると感じるように誘導します。

これにより、顧客は他の人々に差をつけたいという欲求に応えるために、限定品の購入を検討するかもしれません。

成約率を高めるための行動心理学9選「5.権威性の法則」


権威性の法則(authority principle)は、人々が権威のある人や情報源に対して従いやすい傾向を持つという心理学的な原理です。

権威性の法則によれば、人々は権威のある人物や専門家、組織によって与えられた命令や指示に対して、疑問を抱かずに従いがちです。

この権威的な地位や知識の信頼性は、人々が他の人々からの情報を判断する際に一つの指標となります。

例えば、医師や教師、政治家、専門家などの権威的な人物からの助言や指示に対して、人々はより従いやすくなる傾向があります。

①本の紹介

電車内で、「ケンブリッジ大学の研究」「東大の教授」という単語を使った本の紹介のよく見ます。

これは権威性の法則を利用した宣伝です。

②○○賞

「モンドセレクション金賞」や「ベストコスメ受賞」といった文言もそれにあたります。受賞歴があるというだけで信頼を勝ち取れるものです。

モンドセレクションの内情は、手数料を払えば基本的に受賞できるものです。このように、手数料を払ってまで、受賞というのは価値があります。

成約率を高めるための行動心理学9選「6.返報性の原理」


返報性の原理(Law of Reciprocity)は、相互の関係において、他者からの善意や行為に対して、同様の善意や行為で応える傾向があるという原理です。

人々は他者からの好意や親切な行為を受けた場合、それに報いることを感じ、同様の「お返し」を返す傾向があります。

①サンプルや無料の試供品の提供

商品やサービスを売り込む際に、まずは相手に無料のサンプルや試供品を提供することがあります。

相手がそれを受け取ると、返報性の原理に基づいて、相手はサンプルや試供品に対して感謝の気持ちを抱く傾向があります。

その結果、相手は何らかの形で返礼や購入行動をする可能性が高まります。

②親切な対応やサービスの提供

丁寧な対応や親切なサービスを提供することも返報性の原理を活用した手法です。

相手が良い経験や印象を受けると、返礼の意識が働き、商品やサービスの購入につながる可能性があります。

また、顧客が満足した場合、口コミや紹介によって新たな顧客獲得にもつながることがあります。

成約率を高めるための行動心理学9選「7.アンカリング効果」


アンカリング効果(Anchoring effect)は、人々が情報を判断する際に、最初に提示された情報(アンカー)に影響を受ける心理現象です。

アンカリング効果は、人々が未知の情報や数値に直面した際に特に顕著に現れます。

例えば、商品の価格交渉や裁定の際に提示される最初のオファー、または商品の通常価格や割引率などがアンカーとなり、その後の交渉や判断に影響を与えることがあります。

①高価な商品の提示

価格やプランの選択肢を提示する際に、高い価格から順に提示することで、顧客が高価格帯のオプションを基準にして他の選択肢を判断する傾向が生まれます。

不動産での内見などでよく使われる手法です。

②限定数量や期間の強調

顧客に対して、限定数量や期間のセールを強調することで、時間や在庫の制約をアンカーとして使用し、顧客の行動を促すことができます。

③割引の強調

セール期間中に、通常価格と比較して割引率や割引額を強調することで、価格が格安に感じられ、購買意欲を高めることができます。

成約率を高めるための行動心理学9選「8.ウィンザー効果」


ウィンザー効果とは直接の利害関係のない他者が発信した情報のほうが、当事者自らが発信する情報よりも信憑性を得やすいという手法です。

例えば、商品の評判がよいという口コミ情報を第三者が発信することで購買に結びつきやすくなるなど、その効果が実際に認められています。

①ECサイトの「レビュー機能」

Amazonで多くの人はこのレビュー機能を見るのではないでしょうか。

商品を購入する際に、その商品に対するレビューが掲載されていると、その商品に対する信頼性が高まり、購買に結びつきやすくなります。

②口コミサイト

食べログや価格ドットコムがその代表例です。お店側が口コミサイトに投稿を促す様子もよく見受けられます。これもウィンザー効果を狙った手法です。

③「お客様の声」の掲載

CMでユーザーの声を載せたり、販売HP上でお客様の声を載せたりする手法があります。

あえて第三者の声を載せることで、信憑性が増し評判がよく見えるようになります。

成約率を高めるための行動心理学9選「9.カリギュラ効果」


カリギュラ効果はと、特定の行動が禁止または制限されると、逆に人々の興味が湧いてその行動を試みたくなる心理効果のことです。

たとえば、「見るな」と情報閲覧が禁止されると、人々はかえってそれを見たくなるという心理現象が起こります。

この効果は、広告宣伝やテレビ番組でも利用されています。

ウェブCMなどでは

「健康な方は見ないでください」
「悩みがない人は使わないでください」

といった文言が使われる場合があります。

これは、行動を禁止することで興味を湧かすという手法をとっています。

また、「この商品はまだあなたには早いかもしれない」という購入を躊躇させる手法をとることもできます。

【まとめ】成約率を高めるための行動心理学9選


成約率を高めるための行動心理学の手法を9つみてきました。

これらのテクニックは、お客様の心理を理解し、売り上げの向上に役立ちます。

どれも簡単に実践できるものばかりですが、効果は絶大です。ぜひ、自分のビジネスに取り入れてみてください。

テキストのコピーはできません。